現代は現金を持ち歩かなくてもカードやスマホで支払いができるようになり、財布を持ち歩かない人も増えました。
私も休日の時ぐらいしか財布を持ち歩かないし、それで困ったことはありません。
ここでふと疑問に思ったことが一つ。
現金での支払いとクレカやアプリでの支払いでお客様の心の中で違いはあるのか?
あるのであれば支払額にどう関係してくるのか?
これについて調査してみたら面白い結果が出てきました。
結論から言うと現金払いよりクレカ払いなどの非現金支払いの方が売上は多くなる
現金とクレカどっちが財布の紐がゆるくなるかを確かめた実験
2001年、アメリカのマサチューセッツ工科大学で二人の教授がこんな実験を行いました。
経営学を学んでいる64人の学生にバスケットボールの試合のチケットをオークションにかけ、自分がこの値段なら欲しいと思う金額で入札しなさいと指示を出した。
しかし、この実験には仕掛けがあり、64人の半分には現金で入札を、残りの半分はクレジットカードで入札するように指示された。
現金で支払うグループの平均入札額が2900円に対して、クレジットカードで支払うグループのへの平均入札額は6100円だった。
次の実験では同じグループでバスケットボールを現金支払い、クレカ支払で購入してもらった。
バスケットボールの場合、現金払いが332円、クレカ払いが529円でした。
バスケットボールのような安いものでもカード払いの方が購入金額が多いので、基本的にどんな商品でもカード払いのが購入金額は多くなるようです。
この結果について教授たちや心理学者は、現金支払いは実際に自分の財布からお金を出すことを苦痛に感じるのに対し、クレカ払いは実際支払ったお金を見ることがないので現金より支払いに対して財布の紐がゆるくなると結論付けました。
(話のオチですが教授はこの論文に「クレジットカードをもって家を出るな」とタイトルを付けたのは相当皮肉が効いてます笑)
コーヒーショップに出てきた人に自分が使った金額を聞いてみた
もう一つ現金と非接触IC支払いを比べた実験がロンドンで行われました。
この実験の内容はコーヒーショップから出てきた人たちに以下の三つの質問を行います。
- いくらお金を使いましたか?
- どんな方法で払いましたか?
- レシートを見せていただけますか?
この実験の目的は、実際の支払いと自分がいくら使ったかの記憶が支払方法によってどれだけ違うを確かめることでした。
結果はとてもおもしろいものでした。
現金で支払った人たちは実際の金額より10%多く支払ったと認識していたのに対し、非接触ICで支払った人たちは実際の金額より5%も少なく支払金額を見積もっていました。
これがどういう意味を持つかというと、現金で支払った人は実際の金額よりも「高い買い物だった」と認識しているという事です。
逆に非接触ICなどの非現金での支払いは「安く買えた」と認識する。
非現金の場合、頭の中での試算にまだ安いという印象があるのでついつい買い物を多くしてしまうという行動を消費者にさせてしまうのでした。
お客様に「安くてお得だった」と感じさせる方法三選
1.キャッシュレス決済を導入してみる
現金支払いより非現金支払いの方がついつい財布の紐がゆるくなる。
人間はそのように感じるということが実証されたので、キャッシュレス決済を導入できるのであればしたほうがいいです。
しかし、小さい会社では手数料の関係などでそもそも導入が難しい場合もあるでしょう。
なのでキャッシュレス決済を導入する以外にも商品をお安く見せる方法をあと二つご紹介します。
2.表示価格から円の文字を消すと売上が上がる
商品をお安く見せる方法はキャッシュレス決済のみではありません。
アメリカの実験で表示価格から$表記を消すと売上が8%上がるという研究結果が出ました。
なぜかというと人間は値段の高さを文字列の長さで認識しているというのです。
- 100円
- 10000円
100円と10000円では10000円の方がどう考えても高いですが、人間は直感的に文字列が長いからという理由で10000円の方が高いと認識しているのです。
- 10000円
- 10000
このような状況だと10000と表記された方が安く感じるという人間心理が働きます。
こんなのほんとに効果があるのかよと思いますが、もともとこの手法はアメリカの高級レストランで取りいれられている手法でした。
では本当にそれは効果があるのかと確かめたのがこの実験だったんですね。
実際効果があり、しかも手間がかからないという点で非常に優秀な方法です。
たったこれだけで1割近く売上が上がる可能性があるのでやって損はないですよ。
3.返済期間を操作して意図的に少なく見せる
もう一つは返済期間を操作して金額を少額に見せる方法です。
これもアメリカでの実験ですが500人を四つのグループに分けて、マツダの実際の自動車ローンの契約書を見せて反応を見ました。
この4つのグループには自動車ローンにかかる金額が1日、1週間、1か月、1年と別々の期間の支払額を見せました。
例えば、支払金額が1日当たり686円、1週間当たり4800円の別々の契約書です。
当然どの契約書も最終的には同じ金額の25万200円を支払わなければなりません。
しかし、4つのグループの反応は違いました。
支払金額が短い表示がされているほど契約は素晴らしく感じられたのです。
1か月の支払金額を見たグループより、1日の支払金額を見たグループのほうが28%も契約に対して良い評価を下したのでした。
そりゃ、686円と20000円を比べたら686円の方が安く感じます。
支払金額は最終的に一緒だからそんなわけないだろと思うかもしれませんが、消費者は返済回数というものをあまり意識しません。
自分がいくら払うかの方が重要だからです。
この手法はテレビ通販などでよく用いられます。
実際の金額を提示してから、1日にかかる費用は〇〇円!といった感じで商品を安く見せています。
どの業界でもかなり使われている手法で、見せる数字を変化させるだけなのでとても取り入れやすいものです。
まとめ
現金と非接触ICなどの非現金払いは、非現金払いの方が消費者にとって財布の紐がゆるくなります。
導入できるのであれば、これらのキャッシュレス決済は導入したほうがいい。
しかし、手数料などの関係で導入が難しければ表示価格から円の文字を消したり、返済期間を操作して意図的に安く見せることも可能です。
これらは特に労力もなく効果がある手法なので今すぐ試してみてくださいね。