新しい商品やサービスを作ったときに真っ先にやるのは、名づけと価格付けでしょう。
特に価格は利益を決める重要な要素です。
ここを間違えるとせっかく素晴らしい商品でも、その素晴らしさに見合う利益を上げられない場合があります。
とくに大企業と違って、資金が底をつきやすい中小企業やスタートアップだと価格設定が会社の生命線になることもあります。
ですが、価格設定を失敗してしまう会社はとても多いです。
価格設定には正解がないのと、固定概念、間違った値付けをしている会社を参考にしているなどなどいろいろの理由があります。
なので今回はよくある価格設定の間違いを書いていきます。
この記事はこのような方におすすめです。
- 価格を周りの競合と似たものにしてしまう方
- 価格をつけても本当にこれでいいのか不安になってしまう方
価格設定に正解はありませんが、失敗する方法は基本的に似通っています。
正しい値付けの方法も書いてありますので是非ごらんください。
ここに書いてあることを読んで、こんな失敗を犯さないように参考にしてみてくださいね。
価格設定で犯す4つの間違い
さて、基本的な価格設定の失敗をさっそく書いていきます。
- 業界の慣習
- 必要経費から算出した値付け
- 目標利益から算出した値付け
- 勘や経験則
業界の慣習
周りの競合他社の料金やこれまでの業界の平均的な料金を参考にしてそれを自分のサービスに当てはめる例。
周りの同業者を調べてみて「ここがこのサービスをこの値段で出してるならこの料金でいいだろう。」
よくある話ですがこの価格設定の方法はいろいろな問題を抱えています。
まず商品の強みが全く活かされない事。
周りと同じ程度の料金に設定してしまっては、他社と同じような商品やサービスを売っていますと遠回しに言ってるようなものです。
他社と差別化できているのであれば、相応の値段をつけなければいけません。
そうしなければお客様に差別化していることすら気づかれません。
そしてもう一つの問題は強みを活かせないから、周りの値段に影響されるという事。
周りが値下げをしたら、それらに合わせて値下げをしないと顧客が減ってしまう危険性をはらみます。
もし値下げの連鎖が起こってしまえば、その商品から望んだような収益は得られなくなるでしょう。
そして値下げ合戦で生き残るのは、より資金を多く持つ大企業だけ。
そんな勝ち目のない戦いをする必要はありません。
必要経費から算出した値付け
これもよくある値付けの決め方の一つです。
商品を作ってから売るまでのコストを計算して、そこから利益を計算する方法です。
「とりあえず赤字にならないからこの値段で売ろう。」
上で挙げた四つの失敗のなかでは一番マシでしょう。
この価格設定の問題はお客様は、良くも悪くもこちらがいくらのコストをかけて商品を作ったかなんて全く興味がないことです。
そして多くの方が失敗する理由はここにあります。
逆を言えばお客様は価値に見合った価格であれば、製造コストが低かろうが気にしないという事です。
ですが多くの社長は「これ以上利益を見込むのは、やりすぎかもしれない。」と値段を上げることを躊躇します。
重要なのはお客様がその価格を適正と思うかどうかで、あなたが適正と思うかどうかではありません。
お客様が価値を感じるならば、それ相応の価格をつけなければいけません。
例えば、ブランドもの高級品が割安で売られていたらあなたはどう思いますか?
適度な割引ならラッキー!と思うでしょうが、大幅に値下げがされていたら「品質に問題があるんじゃないか?」と思うのではないでしょうか。
ブランド物は品質がいいのでコストもかかっているでしょうが、その値段を決定づけているのはブランドという付加価値です。
値段が高いことによって品質の担保と、ブランド物を買ったというステータスや購買欲求を満たしています。
なのでブランド品は価格が高いことに意味があるわけです。
上記は極端な例ですが、お客様から見れば価格というのは低ければなんでもいいというものではありません。
なので商品のコストに見合った価格ではなく、商品の価値に見合った価格をつけるべきなのです。
目標利益から算出した値付け
こちらは2番と似ていますがコストよりも利益により重点を置いた値付けになります。
「この商品を売ったらこれくらいの利益が欲しいな。」
これは2番と問題点は似ていますが、一番大きな問題としては取らぬ狸の皮算用になりやすいという点です。
上記で書いたように、お客様はこちらが商品につきどれくらい利益が欲しいかなど関係ありません。
重要なのは価格に見合った価値なのかどうか、それだけです。
この値付けの方法でありがちなのは利益率などを重視しすぎるせいでお客様が感じる価値より割高な値段になってしまう事。
ビジネスを始めたばかりで資金がどうしても欲しくなる場合、こういうことが起こりやすいです。
もし自分が想像したような販売数に到達しない場合、値下げを検討する必要があります。
経験則や勘
これに関しては上記の失敗1.2.3の複合型です。
経験則などの問題点は価格設定についての明確な指針が決まっていない点になります。
指針がないので、値下げすべき商品を値下げせず、値上げすべき商品を値上げしないなど上記すべてのデメリットを含む最悪の方法です。
商品の価値に見合った価格のつけ方
お客様は商品にどれだけコストがかかったか、こちらがどれだけ利益を出したいかなど関係ありません。
頭の中にあるのは「その商品はそれだけのお金を出すだけの価値があるのか?」それだけです。
ただし、価値の感じ方は人それぞれなので価値に対して絶対的に正しい価格をつけることは不可能です。
なので価値に見合った価格をつける方法をご紹介したいと思います。
- 商品を購入してくれるターゲット層を決める
- 競合他社で同じターゲット層を狙っているであろう似たような商品(基準商品)を見つける
- 基準商品と自社の商品の差異をすべて挙げる
- ターゲット層の予算や基準商品の差異を考えてどのような価格をつけるか考える。
- 導き出された価格がコストと利益どちらも満たすかどうか考える。
1:商品を購入してくれるターゲット層を決める
まず新しく作った商品がどのような層に向けた商品なのか考えます。
商品を作る際にどういう人に売りたいか考えているはずですから、そこまで時間はかからないでしょう。
若年層向け、女性向け、富裕層向けなど、商品を最も購入してほしい層を決めます。
ターゲット層の決め方はこちらで詳しく解説しています。
2:競合他社で同じターゲット層を狙っているであろうメジャーな商品を見つける
最もここが重要です。ここを間違えるとお客様が思う価値と見当違いの値段をつけてしまいます。
他社の商品で、新しく作った商品とターゲット層が似てると思われるメジャーな商品(これを基準商品と呼びます)を見つけます。
基準商品を選ぶポイントは、似ている商品のなかでもっともメジャーなものを選びます。
なぜもっともメジャーなものを選ぶのか?
その市場のなかで最も売れている(最も高価なものとは違うので注意)という事は、大多数のお客様が価値に対して価格が妥当と判断しているから。
なので価格の基準として最もふさわしいという事です。
リアルビジネスなら商圏の競合で一番大きい所、ネットビジネスなら市場の最大手の商品を調べてみましょう。
(いい参考がなかった場合アマゾンなどのネットショップで見つけるのもいいでしょう。ただし値段が低い傾向があるので注意)
3:基準商品と自社の商品の差異をすべて挙げる
基準商品が見つかったなら、自社の商品との差異を挙げていきます。
ブランド、商品自体の質、サービス、便利さ、その他もろもろです。
4:ターゲット層の予算や基準商品の差異を考えて、それより上の価格をつけるか、下の価格をつけるか考える。
3番で挙げた差異を考慮して、基準商品より価格を上げるのか下げるのか考えます。
基準商品より優れた差異があるならば上の価格をつけますし、劣っているのであれば下の価格をつけます。
(劣っているから下の価格をつける事に対して卑屈になることはありません。最低限のサービスで価格を極力抑えたいという需要も必ずあるからです。重要なのはお客様が妥当と思うかどうかです。)
そして、どれくらい価格を上げるか下げるかは商品の単価とターゲット層によって当然変わります。
基準商品の価格が千円のものと十万円のものでは当然つける幅も変わってきます。
そしてターゲット層によって許容できる予算の範囲もあるのでここは難しい所です。
慣れないうちは基準商品に対して、90%~120%の間でつけるといいでしょう。
5:導き出された価格がコストと利益どちらも満たすかどうか考える。
ここでやっとコストと利益が登場です。
導き出された価格に対してコストを回収できるか、その商品で得たい利益は実現できるのか。
基準をクリアするならそのまま商品を出します。
基準を満たさないのであれば、商品に手を加える(差異を増やす、減らす)、ターゲット層を変えるなど条件を変えてまた1番からやり直します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
価格設定というのは正解がありませんから、場当たり的な価格付けをしてもあまり顧みられません。
ですが、価格というのは企業の生命線なので、ここで失敗をしてしまうと事業が傾く恐れもあります。
周りより上の値段をつけるというのはかなり勇気がいります。
でもそれに納得できる理由があればお客様は購入してくれるんです。
(僕はAmazonなどのネットショップで買い物したときは待つのが面倒なので、割高でも配送が一番早いのを買っちゃいます(笑)。配送が早いという点にそれだけの価値があると考えているわけですね)
最も重要なのはお客様がその価格に見合うだけの価値があると思うかどうかです。
多くの人は値段をつけるとき、周りより下に下にと考えます。
ですがこれを見てくれたあなたはそんな価格だけの間違った争いに巻き込まれずに済む方法を手に入れました。
ここに書いてある方法を活用して、ぜひ正しい値付けから利益を最大化してくださいね。