本当にワガママなのは客と会社どっちなのか

マーケティング
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今回はとある社長と喋っていて、一流の会社と二流の会社を分けるのはこれだなと思ったことがあるのでその事を書いていきます。

僕自身への戒めとしてこの内容を残しておきたかったので、一流と二流の会社を分ける要因を知りたい方は是非ご覧ください。

本当にワガママなのは客と会社どっちなのか

コンサルを受けたある会社のサービスを僕が下調べしていた時のことです。

その商品を実際に使っているお客さんからお話を聞く機会がありました。

「ここのサービスは良い所が多いんだけれど、痒いところに手が届かないのが玉に瑕なんだよねぇ…」

この様なことをサービスを利用している会員さんから聞きました。(コンサルを受けた会社は会員制のサービスを提供しています)

会員さんが痒いところに手が届かないと言ったことについて社長さんに相談するとこう答えました。

「そこはあえて痒いところに手が届かないようにしているんだよ。なるべく上のランクのサービスを使ってほしいからね。」

(補足しておくと、サービスにはいくつかのコースを用意していて、当たり前ですが上のコースほど料金が高いです。)

「下のコースで満足できないなら上のコースにあげてもらうしかない。上げてもないのに満足できないっていうのは会員さんのワガママだよ。」

たしかに客単価が上がれば売上が増えるので言いたいことは分かります。

しかし、下のコースを物足りなくしておけば上のコースにするだろう。

この論理はあまりにも楽観的で、そして間違っています。

なぜならお客様はその会社のサービスだけを見ているわけではないから。

もし他社が同じような料金で痒いところに手が届くサービスを売りだしたらどうするのか?

瞬く間にいい評判が広がって、そっちにお客さんは流れていくに決まっている。

顧客が自社のサービスの中だけで比較をしてくれているというのはあまりにも都合のいい勘違い。

サービス改善の要望をお客さんのワガママ扱いして、会社の都合をお客さんに押し付けているだけなのです。

これが今回のタイトルの、本当にワガママなのは客と会社どっちなのか、の意味。

本当にこんな会社は多い。

お客様に寄り添った商品やサービスを提供します、と言っておきながら会社の都合で販売している。

そして残念ながらそんな会社は成長しづらいです。

だって本当にお客様に寄り添った商品、サービスを提供している会社に勝てるわけがないんだから。

事実、上で例に挙げた会社は商圏の同業他社に会員を奪われて売上は右肩下がりです。

お客様もバカではないです。

自分にとってより都合のいいものがあればそっちに乗り換えますよ。

GoogleになれなかったYahoo!

この話の具体例としてグーグルとヤフーの話をしておきます。

どちらも日本でよく使われる検索エンジンです。

ですがその両者の利用率については大きな開きがあります。

日本でのGoogleの利用率は75%程度。

大してYahoo!の15%程度。

複数のサイトで多少のばらつきがありましたがほぼこのような調査結果でした。

ちなみに世界規模だとGoogleはシェア9割前後で圧倒的です。

なぜこれだけ大きな差が生まれるのか。

そこにGoogleの理念が関係してきます。

Googleの理念は「グーグルが掲げる10の事実」という形でサイト上で見れます。(載せておくので興味のある方は見てみてください)

Google が掲げる 10 の事実 - Google
設立当初から現在まで Google を支えてきた理念、「10 の事実」をご紹介します。

10の事実の1番目にこのようなことが書かれています。

ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。

ユーザー第一主義を掲げています。

そしてそれを端的に表しているのがグーグルのトップページです。

トップページにはGoogleの文字と検索窓しかありません。(最近はユーザーのショートカットも出てきますが)

「検索エンジンは検索するためにあるもの。検索以外の機能を利用者は求めていないのだから必要ない。」

まるでそう言わんばかりの何もないトップページです。

対してYahoo!のトップページ。

一番上にYahoo!JAPANの文字があり、その下に検索窓があり、そこから下はズラーとニュースや広告、自社サービスの宣伝が続きます。

自社のサービス使ってくれたら売上は上がる、広告を押してもらえれば広告費が入る。

たしかに会社にとってはいいことづくめです。

ですがそれは会社側の都合でしかない。

ユーザーにとってはこんなに機能があっても使いきれないですよ。

そして自分が使わない機能は邪魔でしかない。

お客さんの都合にはなってなかったわけです。

しかしYahoo!側の気持ちもわかります。

そりゃ売上ほしいですもん(笑)

これが一般的な会社(社長)が持つ普遍的な考えだと思います。(僕だってそうです)

ですが、それをせずにユーザーの利便性を第一に考えた結果、Googleはすべてを手に入れました。

「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。」

これを有言実行した結果だと思います。

ワガママと要望の見分け方

とはいえ自分の都合でワガママばかり言うお客さんもいないわけではありません。

一応ワガママと要望を区別する方法も書いておこうと思います。

ワガママと要望、この2つを完全に区別する方法は難しいですが

他社でも当てはまるのはワガママ、自社でしか当てはまらないのは要望

ぐらいで考えていいと思います。

例えば値下げ。

どこの会社でも言う人はいますよね(笑)

この場合は相手にしなくていいと思います。

しかし、「この商品の○○はこうならないのか?」

これは自社の商品のことを言っているので自社にしか当てはまりません。

実際に商品を使ったうえでの欠点を見ているので無視するわけにはいかない。

物理的にどうしようのない部分もあるでしょう。

しかし、会社の都合での欠点であれば改善したほうが長期的に見てお得です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

一番上で書いた社長との会話は、この記事を書いている前日の話です。

これは自分も気を付けないとなと戒めを込めて記事にしました。

お客さまの為とか言いながら、自社の都合を最優先して販売している会社は多いです。

むしろお客様の都合第一でビジネスをしている会社なんて滅多にいるものじゃないでしょう。

しかし、そんな会社がGoogleのように市場の支持を集めて圧倒的なシェアを獲得します。

今はスマホがあるので自分に最適な商品、サービスを探すのは容易です。

他社により良い商品があれば顧客はすぐにそちらに乗り換えます。

自社のモノだけみて選んでくれていると考えるのはあまりにも楽観視が過ぎます。

そんな会社は成長できないどころか、最悪市場から退場させられてしまうかもしれません。

そうならないためにも私たちも頑張りたいですね。